第24回ボランティア・ツアー⑤
楽天優勝のお蔭で何とか天気も持ち、
作業現場である寄木地区へ向かいます。
到着後、昨日の様にH家班とYさん班に分かれます。
H家では土嚢の移動や浮き玉の移動、
網の手入れや薪割など分担して作業を手伝います。
この網はホタテを入れる網カゴ用です。(モデル:H家のお父さん)
合間には話をしたり、写真を撮ったりしています。
その後ろでは今ツアー最年長のMさんが
パッカンパッカンとリズミカルな音をたてて、気持ち良いくらい薪を割っています。
Mさんには“カナダの木こり”というあだ名があるそうで、
その見事な薪割りっぷりから“木こり”は納得出来たのですが、
なぜ“カナダ”なのか疑問に思い、由来を聞いてみたところ、
「スキーで滑っている姿がカナダの木こりに似ているからだって」
と、薪割りとは全く関係のない、超想定外の返答を頂きました。
その場にいた全員が首都圏在住にも関わらず、一斉にMさんにツッコみました。
至極真っ当な反応ですね。
こちらではロープに繋がれた浮き玉の移動作業です。
長さもあるので結構な重量です。
男性陣が頑張ってくれました。
Yさんの作業場へ行くと、Yさんが皆さんに話をしていました。
今でこそ、ボランティアを受け入れているYさんですが、
震災当初はずっとボランティアを断っていました。
理由は「(支援に対して感謝の気持ちを)お返しする事ができないから」です。
こちらの人達は元々人をもてなす事が大好きで、
人が来ると来てくれた事を喜び、ご馳走を作って歓待します。
もちろんYさんもそのお一人です。
けれども津波で自宅や船が流されてしまい、
生活はおろか、もてなす術さえも失いました。
震災後、多くの人達が時間とお金を掛け、
日本全国から、時には海外から
見ず知らずの自分達の為に駆けつけ、助けてくれる。
その事にYさんやH家、現地の人達は言葉に出来ないほど感謝しています。
けれども、その感謝の想いを返す術が当時は(当然ながら)全くありませんでした。
感謝の想いが大きければ大きい程、
何も返せないでいる事がとても辛く、申し訳なさを感じる様になったのです。
勿論、ボランティアさん達が見返りなど求めていない事は重々承知しています。
けれども申し訳なく思う気持ちは変わらず、Yさんはずっと断り続けていました。
そんなYさんの気持ちを変えたのは、長野から支援に来ていたある男性の言葉でした。
「私たちは見返りなんか求めていない。
もし申し訳なく思うのなら、次に同じ事があった時にその人達を助けてあげればいい。」
その言葉を聞いてYさんは初めて気持ちが楽になったそうです。
Yさんの作業小屋に飾られた浮き玉には
これまでに支援にいらした人達のメッセージが書かれています。
今回、沖縄出身のHさんとYさんが新しい言葉を書き入れました。
『いちゃりば ちょうでい』
沖縄の方言で「一度会ったら皆兄弟だ」という意味だそうです。
とてもしっくりくる言葉です。
Hさん、Yさん、素敵な言葉を有難うございました。
続きます。