第67回GW南三陸漁業支援ボランティアツアー ②
第67回フェローズウィルボランティアツアー その2南三陸町、歌津寄木漁港の朝、太陽がさんさんと海面を照らします。年末から続いたワカメ収穫の目途がたち、気が付くと春です。
さあ、メカブ削ぎの作業です、この時期は通常より早く宿を出て浜の作業に向かいます。 輝く太陽の陽はメカブにとっては大敵!!、シートを被せて陽の光を遮ります。メカブ削ぎの経験者も初心者にとっても楽しい作業です。皆さん作業スタイルが様になっていますね。今年はワカメもメカブも高値だそうです。自然を相手に上ったり下がったり、稼げる時に沢山稼いで下さい。だって、半年掛けて準備し、年末の寒い寒い時に種付けし、2月から収穫が始り、5月に終わる。どれだけ稼いでも、その収入を12か月で割って、家族の人数で割れば、多くの収入にはならないんです。だから沢山沢山収穫出来る様に皆で応援しています。泊浜でも黙々とメカブ削ぎ作業が続きます。この時期三陸地方の沿岸では営々と同じ光景が営まれています。ここ泊浜ではご自宅が比較的高い所に位置し、津波の被害を免れているため、軒先でメカブ削ぎをすることもできます。同じ町でも地形等によって、被害はまちまちです。港も船もみんなやられたけど、自宅だけは幾つか残ったところです。腰が痛い、膝が痛いと言っていた爺ちゃん。「この時期、なんか興奮するんだか、足腰痛くねえんだ」流石漁師ですね。放餌の為、出船する船に乗せて貰います。(放餌ってメカブ削ぎで残った固い芯を海に戻す事です)で、ワカメって?こうなってるんです。ロープに根がついて、その先にメカブ(丸い円盤のようなもの)、ワカメ(茶色い海藻)と続いているんです。
昼食後、泊浜ではワカメの芯抜き作業。一連の作業を経験すると、ワカメの事が良く判り、ワカメへの理解が深まります。そしてワカメ養殖が海の復興に繋がっていることを実感できます。皆さんの食卓にでる、たかがワカメ、でもされどワカメなんです。
3時過ぎに作業を切り上げ、新しく本設オープンした、南三陸ハマーレ歌津商店街を訪問します。南三陸杉を使った洒落た佇まい、プレハブの商店街が懐かしい。こんな、魚竜をイメージした案内看板もあります。魚と水産加工品販売のマルアラさんの入り口にはバームクーヘンとチーズケーキが並んでいました。新しい発想ですね、これが実に美味。地元の方と観光で来られる方々、両方を意識した店作りです。私達も本設オープンに花を添えさせていただきました。
ハマーレを後に裏手の山頂にある慰霊の塔を訪れます。ここから、街のあったところが見渡せます。今は嵩上げされた土地と新しい道路があるだけです。この道路の先にあるのが歌津駅跡です。津波で曲がってしまった線路を取り除き、舗装道路とし、今はBRTのバス道路となっています。気仙沼線は柳津~気仙沼間が不通となっており、バスのみで運行しています。
さて、宿に戻り、先ほど見て頂いた歌津伊里前の街が3.11の津波でどうなったかをDVDで観て頂きました。「忘れない、忘れさせない」私達のツアーの2つ目の目的です。「過去を振り返ってもしょうがない、今を必死に生きるだけだよ」とは現地の方の言葉。よそ者の私達はこの地であったこと、今あることを忘れず、事実を忘れさせないことが大切だと思っています。